【明日10月1日から】働くルールが変わる|最低賃金・同一労働同一賃金・カスハラなど2026年の変更点

人事・労務

「10月から何か変わるらしいけど、自分にも関係ある?」

2026年10月1日から、働く人や会社に関係する制度がいくつも変わります。

東京都では最低賃金が時給1,280円へ引き上げ。同一労働同一賃金のルールも見直され、パート・有期雇用労働者の労働条件通知書には新たな明示事項が加わります。

さらに、これまでの記事でも紹介したカスタマーハラスメント対策と求職者等へのセクシュアルハラスメント対策も、10月1日から事業主の義務になります。

「会社の人事だけが知っていればいい話」ではありません。正社員、パート、契約社員、派遣社員、転職活動中の人、そして経営者まで関係する変更です。

明日から何が変わるのか、元人事経験者の視点で、特に知っておきたいポイントをまとめます。

①最低賃金が改定|東京都は1,280円へ

まず、多くの人に直接関係するのが最低賃金です。

厚生労働省によると、2026年度の地域別最低賃金は全都道府県で引き上げられ、全国加重平均は時給1,177円になります。引き上げ幅は都道府県によって54円~65円で、10月1日以降、地域ごとに順次発効します。厚生労働省

東京都では、2026年10月1日から最低賃金が時給1,226円から1,280円へ、54円引き上げられます。労働局所在地一覧

ここで注意したいのは、最低賃金がアルバイトだけの制度ではないことです。

原則として、正社員、契約社員、パート、アルバイトなど雇用形態に関係なく適用されます。また東京ハローワークも、試用期間や研修期間を含め最低賃金を下回らないよう注意する必要があると案内しています。労働局所在地一覧

「研修中だから時給1,100円」「試用期間だから最低賃金より低くても大丈夫」と単純に考えることはできません。

月給制の正社員なら関係ない?

これも誤解されやすいところです。

最低賃金は「時給で働いている人」だけの制度ではありません。月給制でも、最低賃金の対象になる賃金を時間額へ換算し、地域別最低賃金を下回っていないか確認する必要があります。

特に注意したいのが、固定残業代を含んだ給与表示です。

東京ハローワークも、固定残業代を適用している求人で最低賃金を下回るケースが見られるとして注意を呼びかけています。労働局所在地一覧

「月給25万円だから最低賃金は大丈夫」と給与総額だけを見るのではなく、基本給や手当、所定労働時間などをもとに確認する必要があります。

②パート・契約社員の「同一労働同一賃金」が変わる

2026年10月1日には、パートタイム・有期雇用労働者に関するルールも改正されます。

厚生労働省は今回の主な変更として、雇入れ時の労働条件明示事項の追加、同一労働同一賃金ガイドラインの改正、雇用管理の改善等に関する指針の改正を挙げています。厚生労働省

特に働く人に知っておいてほしいのが、労働条件通知書の変更です。

10月1日以降、パート・有期雇用労働者を雇い入れる際には、これまでの「昇給の有無」「賞与の有無」「退職手当の有無」「相談窓口」などに加え、正社員など通常の労働者との待遇差の内容や理由について説明を求めることができる旨を明示する必要があります。厚生労働省

つまり会社側は、単に給与額を通知するだけでなく、

「正社員との待遇の違いについて説明を求めることができます」

ということも伝える必要があります。

③賞与・退職金・家族手当・住宅手当などの考え方も明確に

今回の同一労働同一賃金ガイドライン改正では、これまで以上に具体的な待遇について考え方が示されました。

厚生労働省によると、新たに、賞与、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、福利厚生施設、病気休職、夏季・冬季休暇、褒賞などについて記載が追加・充実されています。厚生労働省

例えば家族手当については、労働契約を繰り返し更新しているなど、相応に継続的な勤務が見込まれるパート・有期雇用労働者について、正社員と同一の家族手当を支給すべきとする考え方が示されています。住宅手当についても、転居を伴う配置変更の有無など、手当の目的に応じた考え方が明確になりました。厚生労働省

ただし、ここは誤解してはいけません。

「10月1日からパートにも正社員とまったく同じ賞与・退職金・手当を必ず払わなければならない」わけではありません。

同一労働同一賃金では、職務内容、責任、配置変更の範囲、待遇の目的などを踏まえ、待遇差が不合理ではないかを判断します。雇用形態が違うという理由だけで待遇差を正当化できるわけではありませんが、「すべて同額にする制度」と理解するのも正確ではありません。厚生労働省

④派遣社員の同一労働同一賃金も改正

派遣で働く人にも変更があります。

2026年10月1日から、派遣労働者についても、雇入れ時や派遣時に待遇差の内容・理由について説明を求められる旨を明示する必要があります。

さらに同一労働同一賃金ガイドラインの明確化や、公正な評価による待遇改善なども盛り込まれています。厚生労働省

派遣社員、派遣元会社だけではなく、派遣社員を受け入れている企業にとっても確認しておきたい変更です。

⑤カスハラ対策が会社の義務に

ここからは、今週このブログで詳しく紹介してきた内容です。

2026年10月1日から、カスタマーハラスメントを防止するための措置を講じることが事業主の義務になります。厚生労働省

対象となるのは大企業だけではありません。

会社はカスハラへの対応方針を明確にし、相談体制を整備し、実際に問題が発生した場合には事実確認や被害者への配慮、再発防止などを行う必要があります。

ただし、

「クレームを言われた=カスハラ」ではありません。

正当な苦情や改善要求と、社会通念上許容される範囲を超えた言動を区別する必要があります。

昨日の記事では、この線引きや会社が準備すべき内容を詳しくまとめています。

→【内部リンク:カスハラ対策が義務化|会社は何をしなければならない?】

⑥就活・面接・インターンでのセクハラ対策も義務化

もう一つ10月1日から始まるのが、求職者等へのセクシュアルハラスメント対策の義務化です。

対象は採用面接だけではありません。インターンシップ、会社説明会、教育実習など、採用や求職活動等に関係する幅広い場面が対象になり得ます。厚生労働省

企業には、禁止方針の明確化、社員への周知、求職者との面談やSNS利用などのルール作り、相談窓口の設置、問題発生後の事実確認や対応などが求められます。厚生労働省

採用担当者だけの問題ではありません。

インターン生と接する現場社員や、OB・OG訪問などで学生と接点を持つ社員も含め、会社としてルールを共有しておく必要があります。

→【内部リンク:就活セクハラ対策が義務化|面接・インターンで会社が注意すべきこと】

「明日から法律が変わる」=全員の給料が上がる、ではない

ここまで読むと、

「10月1日からパートの待遇が全部よくなるの?」

「同一労働同一賃金なら正社員と同じ給料になるの?」

と思う人もいるかもしれません。

しかし、制度変更を必要以上に単純化すると誤解につながります。

最低賃金は、対象となる賃金が地域別最低賃金を下回っていれば是正が必要です。

一方、同一労働同一賃金は、「雇用形態にかかわらず全員を同じ給与にする」という制度ではありません。仕事内容や責任、配置変更の範囲、待遇の目的などを踏まえ、不合理な待遇差をなくしていく考え方です。厚生労働省

今回の改正で重要なのは、働く側が待遇差について会社へ説明を求めやすくなり、会社側も「なぜこの待遇差があるのか」を今まで以上に説明できる状態にしておく必要があることです。

会社側は10月1日に何を確認すればいい?

もし人事・労務担当者や経営者がこの記事を読んでいるなら、明日まず確認したいのは、給与だけではありません。

最低賃金を下回る従業員がいないか。パート・有期社員に使っている労働条件通知書が新様式に対応しているか。正社員と非正規社員の賞与・各種手当・休暇などの違いを説明できるか。カスハラ相談窓口や対応ルールがあるか。求職者向けのセクハラ相談体制や社員との連絡ルールが整っているか。

このあたりを一度確認した方がいいでしょう。

特に、**「昔からこの待遇だから」「うちは小さい会社だから」「今まで問題になっていないから」**という理由は、制度上の説明にはなりません。

働く側も「知らなかった」で終わらせない

制度改正というと、会社が対応する話に見えます。

でも、働く側も自分の労働条件を一度確認してみる価値があります。

東京都で働いているなら、明日から最低賃金は1,280円です。パートや契約社員として新しく働き始める場合には、正社員との待遇差について説明を求められる旨が労働条件通知書などで示されることになります。労働局所在地一覧

分からないことがあれば、まず会社へ確認する。

それでも解決しない場合には、労働局など公的機関へ相談する方法もあります。

「会社が説明してくれないから仕方ない」ではなく、自分の労働条件を自分でも確認することが大切です。

まとめ|2026年10月1日は働き方のルールが大きく動く日

2026年10月1日から、最低賃金の改定、同一労働同一賃金に関するルールの見直し、カスハラ対策、求職者等へのセクハラ対策など、働くことに関係する複数の制度変更が始まります。厚生労働省

すべてを暗記する必要はありません。

ただ、

「自分の給料は大丈夫か」
「自分の雇用形態では何が変わるのか」
「会社として必要な準備はできているか」

この3点だけでも、10月を機に一度確認してみてはいかがでしょうか。

制度は、知っているだけで何でも解決するものではありません。

でも、知らなければ疑問を持つことすらできません。

働く側も会社側も、明日から何が変わるのかを知るところから始めることが大切だと思います。

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