【2026年10月1日施行】就活セクハラ対策が義務化|面接・インターンで会社が注意すべきこと

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就職活動の面接やインターンシップで、必要以上にプライベートなことを聞かれたり、性的な冗談を言われたり、食事に何度も誘われたりする。これまで「まだ社員ではないから、会社のハラスメント相談窓口には相談しづらい」と感じていた人もいるかもしれません。

しかし、2026年10月1日から「求職者等に対するセクシュアルハラスメント」を防止するための措置を講じることが、事業主の義務になります。 採用面接だけでなく、インターンシップや会社説明会、一定のOB・OG訪問、教育実習・看護実習なども対象になり得ます。企業側は「入社前だから関係ない」では済まなくなります。厚生労働省

しかも、この問題は一部の特殊なケースだけとは言い切れません。厚生労働省の令和5年度「職場のハラスメントに関する実態調査」では、2020~2022年度卒業で就職活動を経験した回答者737人のうち、**インターンシップ以外の就職活動中にセクハラを経験したと回答した人は31.9%**でした。今回の記事では、10月1日から何が変わるのか、求職者側と企業側の両方から整理します。厚生労働省

「求職者等セクハラ」とは?

厚生労働省の指針では、求職活動等において、企業が雇用する労働者から意に反する性的な言動を受け、それによって求職活動等が阻害されることが「求職活動等におけるセクシュアルハラスメント」とされています。単に「嫌だった」というだけで自動的に法律上のセクハラと確定するわけではなく、言動の内容や状況、それによって求職活動にどの程度の支障が生じたかなどを踏まえて判断されます。厚生労働省

厚生労働省は具体例として、面接官から性的な事実について質問される、インターンシップ中に性的な冗談やからかいを継続的に受ける、不必要に身体へ触れられる、訪問した社員から性的な関係を求められる、インターン中に執拗に私的な食事へ誘われる、といったケースを挙げています。厚生労働省

ここで注意したいのは、「少しプライベートな質問をした=すべて法律上のセクハラ」ではないことです。逆に、「冗談だった」「コミュニケーションのつもりだった」という理由だけで問題にならないわけでもありません。採用担当者側の意図だけではなく、言動の内容や状況などを踏まえて考える必要があります。

約3人に1人が経験?厚労省調査で分かったこと

先ほどの31.9%という数字は、対象や調査条件を無視して「日本の就活生の3人に1人が必ず被害に遭う」と一般化してはいけません。対象は、令和5年度調査に回答した2020~2022年度卒業の就職活動経験者737人です。

そのうえで結果を見ると、問題の規模は無視できません。厚生労働省によると、就職活動中に経験した内容では、**「食事やデートへの執拗な誘い」33.2%、「性的な冗談やからかい」28.9%、「性的な事実関係に関する質問」26.0%、「不必要な身体への接触」25.1%**などが報告されています。男女ともに被害は確認されており、「セクハラ被害は女性だけの問題」と考えるのも正確ではありません。厚生労働省

また、経験後の影響として「就職活動に対する意欲が減退した」と回答した人が40.0%だったほか、不安や睡眠への影響なども報告されています。採用活動中の何気ない言動が、求職者のその後の就職活動に影響する可能性があります。厚生労働省

対象は「採用面接」だけではない

ここは今回の改正で特に知っておきたい部分です。対象となる「求職者等」は、企業の求人へ応募している人だけではありません。

厚生労働省は、会社説明会やインターンシップなど事業主が行う採用に資する活動への参加者、教育実習・看護実習などの実習生、一定のOB・OG訪問なども対象に含まれると説明しています。一方、専ら教育目的で行われる社会科見学などは対象に含まれないとしています。厚生労働省

つまり、「正式な面接ではないから大丈夫」という考え方は危険です。採用担当者だけでなく、インターンを受け入れる部署の社員や、求職者と接点を持つ社員にもルールを周知する必要があります。

10月1日から会社は何をしなければならない?

ここが企業側にとって最も重要です。2026年10月1日からは「セクハラをしないよう気をつけましょう」と呼びかけるだけでは足りません。

厚生労働省の指針では、企業には、求職者等へのセクハラを禁止する方針と行為者へ厳正に対処する方針を明確にし、従業員へ周知することが求められます。さらに、求職者と面談するときの時間・場所・実施体制や、やり取りに使用するSNSなどのルールをあらかじめ定め、従業員だけではなく求職者側にも周知することが必要です。厚生労働省

そして、求職者から相談を受ける窓口をあらかじめ設け、その存在を求職者へ知らせる必要があります。相談窓口は人事担当者でなければならないわけではなく、人事には相談しづらいケースを考え、別担当者や外部機関を利用する方法も指針で示されています。厚生労働省

「相談窓口を作っただけ」でも足りない

相談フォームやメールアドレスだけ作って終わりではありません。相談があった場合には、会社側には事実関係を迅速かつ正確に確認し、必要な対応を取ることが求められます。

事実が確認された場合には、被害を受けた求職者への配慮、行為者への適切な措置、再発防止を行います。また、事実確認ができなかった場合でも、再発防止に向けた方針の周知や研修などを行うことが指針で示されています。相談者や行為者などのプライバシー保護も必要です。厚生労働省

ここで人事側が気をつけたいのは、「証拠がないから終わり」にしないことです。一方で、相談があった段階で直ちに「行為者がセクハラをした」と断定するのも適切ではありません。相談者への配慮を行いながら、双方や必要に応じて第三者から事情を確認することが重要です。

採用担当者だけ研修すればいいのか?

私はここが実務上の落とし穴だと思います。

例えばインターンシップでは、人事担当者だけでなく配属先の社員と学生が接することがあります。OB・OG訪問では、普段採用業務をしていない社員が求職者と直接話す可能性もあります。

そのため、「採用担当者だけ分かっていればいい」という制度設計では穴ができます。厚生労働省の指針でも、管理監督者を含む労働者への周知・啓発や研修などが例示されています。厚生労働省

特に注意したいのが、個人的なSNSでのやり取りです。指針では、求職者との面談時間・場所だけでなく、やり取りに使用するSNSの種類についても企業があらかじめルールを定める例が示されています。会社公式の連絡手段があるのに、社員個人のLINEやSNSへ移動してやり取りする運用は、企業として一度見直した方がいいでしょう。厚生労働省

求職者はどこに相談できる?

10月1日以降、求職活動中やインターンシップなどで問題があった場合には、企業が設置する相談窓口へ相談できます。学生であれば、大学などのキャリアセンターや相談窓口へ相談することも可能です。厚生労働省も、企業の相談窓口と教育機関の窓口のどちらに相談してもよいと案内しています。厚生労働省

また、「これはセクハラに該当するのか分からない」という段階でも相談できます。厚生労働省の指針では、実際にセクハラが発生している場合だけでなく、発生するおそれがある場合や、該当するか微妙な場合についても広く相談に対応することを求めています。厚生労働省

面接官が聞いてはいけないことを整理しておく

採用面接を担当した経験がある人ほど、「今まで普通に聞いていたから大丈夫」と考えない方がいいと思います。

雑談のつもりだった。緊張をほぐそうと思った。相手のことをもっと知りたかった。このような意図だったとしても、求職者との間には「採用する側・される側」という関係があります。

特に性的な事実関係に関する質問や、性的な冗談、執拗な私的な誘いなどは、厚生労働省が求職者等セクハラの典型例として示しています。採用担当者個人の感覚に任せるのではなく、面接で確認する項目を会社として整理しておくことが必要です。厚生労働省

なお、「面接でプライベートな質問をしたら全部違法」という意味ではありません。採用選考では、セクハラ対策とは別に公正な採用選考という観点もあります。記事を分かりやすくするため、この点については別記事で「面接で聞いてはいけない質問」として整理したいと思います。

小さな会社でも対象になる?

今回の措置義務について、厚生労働省は事業主に義務付けられるものとして案内しており、中小企業だから対象外という制度ではありません。厚生労働省

むしろ小さな会社ほど、「採用は社長が直接やっている」「インターン生と社員が個人的に連絡している」「相談窓口が人事担当者一人しかいない」といったケースが考えられます。

大企業と同じ規模の制度を作る必要はありませんが、誰が相談を受けるのか、求職者と社員の連絡方法をどうするのか、問題が起きたときに誰が事実確認するのか。この程度は、10月1日を機に決めておいた方がいいでしょう。

人事経験者として考える「採用する側が忘れてはいけないこと」

採用面接では、企業が応募者を評価します。そのため、どうしても「企業が選ぶ側」という感覚になりやすいと思います。

ただ、実際には応募者も会社を見ています。

面接官の言葉。受付の対応。社員同士の会話。質問の仕方。トラブルがあったときの対応。

それらを見ながら、「この会社で働きたいか」を判断しています。

求職者へのセクハラ対策を、単なる法律対応として考えるだけでは足りません。採用活動そのものが、その会社の働き方や価値観を求職者に見せる場になっていると考えた方がいいと思います。

「まだ社員ではないから」ではなく、入社前だからこそ、その会社の姿勢を見られている。

10月1日の義務化を機に、採用担当者だけでなく、求職者と接する社員全体で考える必要があるテーマではないでしょうか。

まとめ|10月1日から「入社前だから対象外」ではなくなる

2026年10月1日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置が事業主の義務になります。対象は採用面接だけではなく、インターンシップや会社説明会、一定のOB・OG訪問、教育実習・看護実習などにも広がります。厚生労働省

会社側には、禁止方針の明確化、求職者との接触ルールの整備、相談窓口の設置、相談後の事実確認と対応、プライバシー保護などが求められます。厚生労働省

採用活動は、企業が人を選ぶだけの場ではありません。求職者もまた、その会社を見ています。

「入社前の人だから」ではなく、「これから一緒に働くかもしれない人だから」。

その視点を持つことが、法律対応以上に大切なのかもしれません。

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