【東京都1,280円】最低賃金は月給いくら?月給22万円でも下回る?固定残業代・手当・試用期間を解説

人事・労務

2026年10月1日から、東京都の最低賃金が時給1,280円になりました。これまでの1,226円から54円の引き上げです。東京労働局は、試用期間や研修期間を含め、10月1日以降は原則として1,280円を下回らないよう注意を呼びかけています。労働局所在地一覧

「私は月給制だから関係ない」「月給22万円もらっているから最低賃金は余裕で超えている」「固定残業代込みで25万円だから問題ない」。そう考えている人もいるかもしれません。

しかし、最低賃金は給与の総額だけを見て判断する制度ではありません。

月給制の場合は、最低賃金の対象になる賃金を1か月平均所定労働時間で割って時間額に換算して確認します。また、残業代や通勤手当など、最低賃金の計算に含めない賃金もあります。厚生労働省

月給制でも最低賃金は関係する

地域別最低賃金は、原則として正社員、パート、アルバイト、契約社員、嘱託など、雇用形態や呼び方にかかわらず適用されます。月給制だから対象外になるわけではありません。厚生労働省

厚生労働省が示している月給制の確認方法は、

最低賃金の対象となる月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金

です。厚生労働省

東京都なら、2026年10月1日以降、この計算結果が原則として1,280円以上である必要があります。

「最低月給はいくら?」に一つの答えはない

ここが最も誤解されやすいところです。

「東京都の最低賃金が1,280円なら、最低月給はいくらなのか」と考えたくなりますが、全員共通の最低月給が一つ決まっているわけではありません。会社によって1か月平均所定労働時間が違うからです。

例えば、最低賃金の対象となる賃金だけで考えると、目安はこうなります。

1か月平均所定労働時間1,280円で計算した月額
160時間204,800円
165時間211,200円
168時間215,040円
170時間217,600円
173.8時間222,464円

つまり、同じ月給22万円でも、会社の所定労働時間によって結果が変わります。

例えば月給22万円で1か月平均所定労働時間が160時間なら、時間額は1,375円なので1,280円を上回ります。一方、173.8時間なら約1,266円となり、ほかに最低賃金の計算へ算入できる手当がなければ、1,280円を下回る計算になります。

「月給22万円だから大丈夫」と金額だけで判断できないのは、このためです。

通勤手当を入れて計算してはいけない

給与明細を見ると、基本給のほかにさまざまな手当が付いていることがあります。

しかし、すべてを足して最低賃金と比較できるわけではありません。

厚生労働省では、最低賃金の対象から除外するものとして、賞与など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などを挙げています。厚生労働省

例えば、

基本給20万円+通勤手当2万円=総支給22万円

だったとしても、「22万円÷所定労働時間」で最低賃金を判断するのは適切ではありません。

最低賃金の計算では、通勤手当2万円を除いて確認する必要があります。

固定残業代込みの求人は特に注意

東京ハローワークは今回の最低賃金改定にあたり、固定残業代を採用している求人で最低賃金を下回るケースが見られるとして、特に注意を呼びかけています。労働局所在地一覧

固定残業代は、一定時間分の時間外労働などに対してあらかじめ定額で支払う賃金です。ハローワークでは、固定残業代を採用する場合、固定残業代を除いた基本給、対象となる時間数と金額、固定時間を超えた分を追加支給することなどを明示するよう求めています。労働局所在地一覧

最低賃金との比較でも、時間外労働に対する賃金は対象から除外します。厚生労働省

例えば、

月給25万円
基本給21万5,000円
固定残業代3万5,000円

という給与だったとします。

一見すると「25万円なら1,280円は十分超えている」と感じます。

しかし、固定残業代3万5,000円を最低賃金の計算に含めず、仮に1か月平均所定労働時間が173.8時間なら、

215,000円 ÷ 173.8時間 ≒ 1,237円

となります。

この例では、ほかに最低賃金へ算入できる手当がなければ、東京都の1,280円を下回る計算です。

つまり、求人票の「月給25万円」という数字だけを見ても、最低賃金をクリアしているかは分からないということです。

試用期間・研修期間なら安くてもいい?

これもよくある誤解です。

東京ハローワークは、試用期間・研修期間を含めて最低賃金を下回らないようにする必要があると案内しています。労働局所在地一覧

「最初の3か月は研修だから時給1,200円、その後1,300円」という扱いが自動的に認められるわけではありません。

ただし、ここには例外があります。最低賃金法には、試の使用期間中の人などについて、使用者が都道府県労働局長から最低賃金の減額の特例許可を受けた場合に限り、個別に減額が認められる制度があります。単に会社が「試用期間だから」と決めるだけでは足りません。厚生労働省

したがって、一般的な求人を見るときは、

「試用期間だから最低賃金より安くてもいい」とは考えない

ことが重要です。

10月分の給料から上げればいい?

東京都の1,280円は2026年10月1日から効力が発生しています。労働局所在地一覧

給与の締め日が月の途中だからといって、次の給与計算期間から適用すればよいわけではありません。

厚生労働省は、最低賃金の発効日が賃金算定期間の途中にある場合でも、発効日以降は改定後の最低賃金以上を支払う必要があると明示しています。最低賃金制度

東京都では今回10月1日発効なので、10月1日以降に働いた分について新しい最低賃金を確認する必要があります。

最低賃金を下回っていたらどうなる?

最低賃金額より低い賃金を労働契約で定めていたとしても、その部分は最低賃金法上そのまま有効になるわけではありません。使用者には最低賃金額以上を支払う義務があります。

厚生労働省は、最低賃金を下回って支払っていた場合には、その差額を速やかに支払う必要があると案内しています。地域別最低賃金に違反した場合には、最低賃金法上、50万円以下の罰金が定められています。最低賃金制度

ただし、「自分の給与が最低賃金を下回っているかも」と感じても、給与総額だけで判断するのは避けた方がいいでしょう。基本給、各手当の性質、固定残業代、1か月平均所定労働時間などを確認して計算する必要があります。

求人を見るときは「月給」だけを見ない

転職活動をしている人にも、今回の最低賃金改定は関係します。

求人サイトでは、大きく「月給25万円」「月給30万円」と表示されていても、その内訳を確認すると固定残業代が含まれていることがあります。

確認したいのは、基本給はいくらか、固定残業代はいくらか、何時間分なのか、固定時間を超えた残業代は追加支給されるのか、試用期間中の給与はいくらかという点です。

ハローワークも、固定残業代を採用する求人では、固定残業代を除いた基本給額、対象時間数と金額、超過分を追加支給することの明示を求めています。労働局所在地一覧

求人を見る側も、「総額が高そうだから大丈夫」ではなく、給与の中身を見る習慣を持った方がいいと思います。

まとめ|「時給1,280円」だけ覚えても不十分

2026年10月1日から、東京都の最低賃金は1,280円になりました。

アルバイトやパートだけではなく、月給制の正社員にも原則として最低賃金は適用されます。月給制では、対象となる賃金を1か月平均所定労働時間で割って時間額へ換算します。厚生労働省

そして重要なのは、総支給額ではなく「最低賃金の計算に入る賃金」で確認することです。

月給22万円でも所定労働時間によっては最低賃金を下回る可能性があります。月給25万円でも、その中に大きな固定残業代が含まれていれば安心とは限りません。

最低賃金が上がった今日だからこそ、一度給与明細や労働条件通知書を見ながら、

「自分の時給はいくらになっているのか」

を確認してみてはいかがでしょうか。

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