退職することを会社に伝えたあと、
「退職が決まったので固定残業代は支給しません」
「来月から手当を外します」
と言われたら、「退職するんだから仕方ないのかな」と思うかもしれません。
ただ、手当の扱いは会社ごとの契約や就業規則によって異なります。まずは労働条件通知書・雇用契約書・就業規則・賃金規程を確認することが大切です。
そもそも固定残業代とは?
固定残業代(みなし残業代)とは、一定時間分の時間外労働に対する残業代を、毎月あらかじめ固定額で支給する仕組みです。
例えば、
月給25万円
基本給20万円
固定残業代5万円(30時間分)
という給与体系です。
ただし、ここで確認したいポイントが2つあります。
① 最低賃金を満たしているか
例えば2026年10月以降の東京都の最低賃金を1,280円、月の所定労働時間を168時間とすると、
1,280円 × 168時間 = 215,040円
となります。
最低賃金を確認するとき、時間外労働に対して支払われる固定残業代は、原則として最低賃金との比較から除いて考えます。
先ほどの例では、
基本給20万円 ÷ 168時間 ≒ 時給1,190円
となるため、最低賃金1,280円を下回ります。
つまり、
「月給25万円だから最低賃金は大丈夫」
とは限りません。
固定残業代を除いた賃金が最低賃金を満たしているかも確認する必要があります。
② 固定残業代が本当にその時間数分あるか
次に、
「5万円で本当に30時間分の残業代になるのか」
も確認します。
法定時間外労働であれば、通常の1時間当たり賃金に原則25%以上の割増が必要です。
固定残業代の金額が、契約書に記載された時間数分の割増賃金に達していなかったり、実際の残業時間が固定時間を超えているのに追加の残業代が支払われていなかったりする場合は、別の問題が生じる可能性があります。
退職が決まったら固定残業代を外していい?
ここは少し複雑です。
例えば雇用契約書や賃金規程に、
「退職が決定した後は固定残業代を支給しない」
とあらかじめ定められている場合、その条件自体が有効なのかどうかも含め、単純な賃金未払いではなく労働契約上の問題として扱われることがあります。
そのため、労働基準監督署に相談しても、固定残業代を外したこと自体については、すぐに是正するのが難しいケースもあります。
ただし、
実際に残業したのに必要な割増賃金が支払われていない
固定残業代を除いて計算すると最低賃金を下回っている
といった場合は、労働基準法や最低賃金法の問題になる可能性があります。
まず確認しておきたいこと
退職後に給与や手当が変わったら、
雇用契約書・労働条件通知書
就業規則・賃金規程
過去と退職時の給与明細
会社からのメールやチャット
などを残しておきましょう。
「会社が決めたから」「退職するから」という説明だけで判断せず、どの規程・契約を根拠に変更されたのか確認することが大切です。
まとめ
固定残業代については、
「退職したから外された=必ず違法」
とも、
「契約書に書いてある=必ず問題ない」
とも一概には言えません。
一方で、最低賃金や実際に働いた残業時間に対する割増賃金は、別に確認する必要があります。
給与明細を見るときは、月給の総額だけではなく「基本給はいくらか」「固定残業代はいくらで何時間分か」まで見ることをおすすめします。


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