退職前の有給休暇は全部使える?会社に断られたときや手当を減らされたときの考え方

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退職を決めたあと、
「残っている有給を全部使いたい」
「忙しいから有給は取れないと言われた」
「3日以上連続で有給を使うと手当がなくなると言われた」
といったことが起こる場合があります。

では、会社は従業員の有給休暇をどこまで制限できるのでしょうか。
今回は、退職前の有給消化、会社の時季変更権、有給取得を理由とした手当の減額などについて、わかりやすく整理します。

年次有給休暇は、原則として労働者が希望する日に取得する

年次有給休暇は、一定の条件を満たした労働者に法律上認められた休暇です。
原則として、労働者が希望する時季に取得できます。
ただし、希望された日に有給を与えることで「事業の正常な運営を妨げる」場合には、会社には別の日へ変更する時季変更権があります。単に「忙しい」「人が少ない」というだけで当然に認められるわけではなく、個別の事情を踏まえて判断されます。 労働チェック

つまり、
「会社は有給を一切制限できない」
というわけではありません。
一方で、会社が自由に「この日は有給禁止」「連続では使わせない」と決められるものでもありません。

退職前の有給休暇はどうなる?

退職すると、退職日をもって残っている年次有給休暇の権利は消滅します。
そのため、退職前に残っている有給休暇を取得したいと申し出た場合、会社が時季変更権を使って退職後の日に変更することはできません。
厚生労働省の労働条件サイトでも、退職間近の労働者が残っている年休を使い切りたいと申請した場合、退職後へ変更できないため、使用者は時季変更権を行使できないと説明しています。 労働チェック

例えば、
退職日:9月30日
最終出勤日:9月15日
9月16日以降の所定労働日:有給休暇
という形も可能です。
「最後に会社へ行った日」と「退職日」は同じとは限りません。

「引き継ぎが終わっていないから有給は使えない」と言われたら?

会社として、
「引き継ぎをしてほしい」
「後任が決まっていない」
「人手が足りない」
という事情があることはあります。
ただ、それだけで退職予定者の残っている有給休暇が消えるわけではありません。
一方、退職する側もトラブルを減らすため、
退職日 → 有給残日数 → 最終出勤日 → 引き継ぎ期間
を早めに逆算しておくのがおすすめです。

有給を取ったことを理由に不利益な扱いをしていい?

ここも重要です。
労働基準法第136条では、年次有給休暇を取得した労働者について、賃金の減額その他の不利益な取扱いをしないようにしなければならないとされています。
厚生労働省は具体例として、有給取得日を欠勤または欠勤に準じて扱い、精皆勤手当や賞与を減額することを不利益な取扱いとして挙げています。 働き方・休み方改善ポータルサイト

つまり、

「有給を3日以上連続で取得した場合は○○手当を支給しません」

という会社のルールがあり、手当がなくなる理由が有給休暇を取得したこと自体にあるのであれば、年休取得を抑制する不利益な取扱いとして問題になる可能性があります。
「3日休むと給料が減る」
という仕組みになっていれば、
有給を取得すると損をする → 有給を取りにくくなる
という効果を持つためです。

厚生労働省の通達でも、年次有給休暇の取得を抑制するすべての不利益な取扱いをしないよう示しています。 厚生労働省

手当がなくなれば必ず違法なの?

ここは少し注意が必要です。
手当にはいろいろな種類があります。
例えば、実際に特定の業務を担当した日だけ発生する手当など、実労働そのものに対して支払われる性質の手当であれば、有給取得日に支給されないことが直ちに「有給取得へのペナルティ」とは限りません。
反対に、
「有給を取得したから皆勤手当を減らす」
「3日連続で有給を使ったから管理職手当をなくす」
など、有給取得そのものを理由として不利益を与えているのであれば、問題になる可能性があります。

そのため、
「○○手当が減った」という事実だけではなく、その手当が何のために支給されているものなのか
まで確認することが大切です。

有給は自動的に全部消化されるわけではない

有給が残っていたとしても、会社が自動的にすべて消化させなければならないわけではありません。
退職前に取得したい場合は、労働者側から取得を申し出ることが必要です。 労働局所在地一覧
そのため、退職が決まったら早めに残日数を確認しておきましょう。
年次有給休暇の請求権は原則として2年で時効になります。 働き方・休み方改善ポータルサイト

会社と揉めそうなら記録を残しておく

退職日や有給休暇については、
「言った」
「聞いていない」
というトラブルになりがちです。
できれば、

9月30日付で退職予定です。残存する年次有給休暇について、9月16日から9月30日までの所定労働日に取得を希望します。

など、メールや書面で残しておくと確認しやすくなります。
また、
「有給を3日取ったため手当を支給しない」
などと言われた場合も、就業規則、給与規程、雇用契約書、会社からのメールやチャット、給与明細などを保存しておくとよいでしょう。

まとめ|有給を取ったことへの「ペナルティ」には注意

退職前の有給休暇について確認したいポイントは次のとおりです。

  • 有給休暇は原則として労働者が希望する時季に取得できる
  • 会社には一定の場合に時季変更権がある
  • 退職後の日へ有給を変更することはできない
  • 有給は自動的に全日消化されるわけではない
  • 有給取得を理由に賃金・精皆勤手当・賞与などで不利益に扱うことは問題になる
  • 「3日以上有給を取ったら手当をなくす」などのルールも、手当の性質と減額理由を確認する
  • 退職日、有給取得日、会社からの説明はできるだけ記録に残す

会社にも業務上の事情はあります。
しかし、
「会社が困るから、有給を取った従業員にペナルティを与えていい」
ということではありません。
有給休暇は労働者に認められた権利です。

会社と話し合っても解決しない場合や、賃金・手当の減額を伴う場合には、労働基準監督署や総合労働相談コーナーなどへ相談する方法もあります。

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