【「眠れない・仕事に集中できない」が2週間続いたら】うつ病はどう現れる?働く人が知っておきたい7つのサイン

暮らし

「最近、仕事に行くのがつらい」

「夜なかなか眠れない」

「以前なら普通にできていた仕事でミスが増えた」

「休みの日になっても何もする気にならない」

仕事をしていれば、疲れたり、気分が落ち込んだりすることは誰にでもあります。

では、それが単なる疲労ではなく、「うつ病などのこころの不調かもしれない」と考える目安はどこにあるのでしょうか。

2026年10月14日、厚生労働省の「こころの耳」は、前日に開催された職場のメンタルヘルスシンポジウム「中小企業におけるメンタルヘルス対策」のアーカイブ動画を公開しました。

2028年4月からは、これまで努力義務だった従業員50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化されることが決まっており、職場のメンタルヘルス対策は小さな会社にとっても無関係ではなくなっています。こころの相談窓口

一方で、会社の制度が整うこと以上に重要なのは、働いている本人が**「いつもと違う自分」に早めに気付くこと**です。

今回は、うつ病について「仕事をしているときにどんな変化として現れるのか」を中心に整理します。

うつ病は「気分が落ち込むだけ」の病気ではない

「うつ病」と聞くと、

「ずっと悲しんでいる」

「会社で泣いている」

といった姿を想像する人もいるかもしれません。

しかし実際には、こころだけでなく、睡眠、食欲、疲労感、集中力など、さまざまな形で症状が現れます。

厚生労働省は、気分の落ち込みや、それまで楽しめていたことを楽しめなくなる状態などを含む複数の症状が2週間以上続いている場合には、専門家へ相談することを勧めています。

ただし、症状だけを見て自分で「うつ病だ」と診断することはできません。診断は医師が行います。厚生労働省

ここでは診断ではなく、**「相談を考えるきっかけになる変化」**として見ていきます。

1.眠れない・朝早く目が覚める

最初に気付きやすいのが睡眠の変化です。

「布団に入っても仕事のことを考えて眠れない」

「夜中に何度も目が覚める」

「朝4時、5時に目が覚めて、その後眠れない」

反対に、寝ても寝ても眠いという人もいます。

厚生労働省の「こころの耳」でも、うつ病のサインとして睡眠の変化が挙げられています。心の健康相談医療情報

一晩眠れなかっただけで病気というわけではありません。

ただ、こうした状態が続いて、

「毎朝起きるのが極端につらくなった」

「睡眠不足で仕事にも影響が出ている」

という状態なら、一度立ち止まって考えた方がいいでしょう。

2.以前ならできた仕事に集中できない

パソコンを開いたものの、何をしようとしていたのか分からなくなる。

メールを読んでも内容が頭に入らない。

簡単な判断なのに、決められない。

同じ文章を何度も読み直す。

うつ病では、集中力や判断力の低下がみられることがあります。厚生労働省

仕事をしている本人は、

「最近能力が落ちた」

「自分は仕事ができなくなった」

と考えてしまうかもしれません。

しかし、体調の変化によって集中しづらくなっている可能性もあります。

「仕事ができない自分」を責める前に、睡眠や食事、疲労感など、ほかの変化も一緒に起きていないかを見ることが大切です。

3.小さなミスが増える

これまで間違えなかった数字を間違える。

提出期限を忘れる。

同じ確認を何度もする。

仕事の抜け漏れが増える。

これも集中力や判断力が低下した結果として起こる可能性があります。

もちろん、ミスが増えたからといって、うつ病とは限りません。

仕事量が多すぎる。

睡眠不足。

家庭の問題。

身体の病気。

さまざまな原因があります。

重要なのは、

「以前の自分と比べて明らかに変わっている状態が続いているか」

です。

4.何をしても楽しく感じなくなる

平日は仕事で疲れている。

それなら休日に休めば元気になる。

通常ならそうなることもあります。

ところが、

「好きだったゲームをやる気にならない」

「友達と会いたくない」

「旅行の予定を立てても楽しみではない」

「テレビやYouTubeを見ても何も感じない」

と、以前好きだったことへの興味までなくなってくることがあります。

厚生労働省は「これまで好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない」ことを、うつ病でみられる主な症状の一つとして挙げています。厚生労働省

仕事以外の時間まで変化している場合は、少し注意してみてもいいでしょう。

5.疲れが抜けない

「昨日そんなに働いていないのに、ものすごく疲れる」

「朝起きた瞬間から疲れている」

「休日に寝ても回復した感じがしない」

こうした疲労感も、こころの不調でみられることがあります。

「疲れているなら気合いを入れよう」

「運動すれば治るだろう」

と考えて無理を重ねると、さらに状態が悪化することもあります。

特に、

睡眠の変化
食欲の変化
集中力の低下
気分の落ち込み

なども同時に起きている場合は、一つずつ別の問題だと思わず、全体として考えた方がいいかもしれません。

6.遅刻や欠勤が増える

働く人のメンタル不調は、職場では行動の変化として見えることがあります。

厚生労働省の「こころの耳」でも、

「会社に遅刻することが増えた」

「欠勤することが増えた」

「会社へ行きたがらなくなった」

といった変化が、周囲から気付きやすいうつ病のサインとして紹介されています。心の健康相談医療情報

本人は、

「また今日も休んでしまった」

「自分は社会人失格だ」

と自分を責めてしまうことがあります。

しかし、遅刻や欠勤という結果だけを見るのではなく、

「なぜ以前のように出社できなくなっているのか」

を考えることも必要です。

7.「自分はダメだ」と必要以上に考える

失敗すれば誰でも落ち込みます。

しかし、

「全部自分が悪い」

「自分なんて会社に必要ない」

「周りに迷惑ばかりかけている」

と、自分を強く否定する状態が続くことがあります。

うつ病では、自分に価値がないと感じたり、過度に自分を責めたりすることもあります。厚生労働省

そして特に注意したいのが、

「消えてしまいたい」

「死んだ方がいい」

といった考えが出てきた場合です。

この状態では「もう少し様子を見よう」ではなく、早めに医療機関や相談窓口へつながることが重要です。

「2週間」が一つの相談の目安

では、どの段階で医療機関へ行けばいいのでしょうか。

厚生労働省の情報では、気分の落ち込みや興味・喜びの低下などを含む複数の症状が2週間以上続いている場合、専門家への相談が勧められています。厚生労働省

ただし、

「2週間経つまで相談してはいけない」

という意味ではありません。

仕事へ行けない。

ほとんど眠れない。

食事が取れない。

日常生活が難しくなっている。

自分を傷つけたいと考える。

こうした状態なら、期間にこだわらず相談を考えるべきでしょう。

仕事が原因の精神障害も増えている

メンタルヘルスの問題は、「本人の性格」だけで説明できるものではありません。

2025年度に、仕事による強いストレスなどを原因として精神障害の労災請求が行われた件数は4,958件。

支給決定は1,082件でした。

精神障害の労災認定で評価された出来事を見ると、

「上司等からパワーハラスメントを受けた」が222件、

「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」と「セクシュアルハラスメントを受けた」がそれぞれ127件などとなっています。厚生労働省

ここで注意したいのは、この数字はうつ病患者全体の人数ではなく、仕事との因果関係が問題となった精神障害の労災事案だということです。

それでも、

「長時間残業をしていなければメンタル不調にはならない」

とは限らないことが分かります。

人間関係。

ハラスメント。

仕事内容の急激な変化。

顧客からの迷惑行為。

働く環境そのものが心理的な負担になるケースもあります。

ストレスチェックで「高ストレス=うつ病」ではない

会社でストレスチェックを受けた人もいると思います。

そこで「高ストレス」という結果が出ると、

「自分はうつ病なのでは?」

と不安になるかもしれません。

しかし、ストレスチェックはうつ病を診断する検査ではありません。

自分のストレス状態に気付き、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことが主な目的です。ストレスチェック

反対に、

「ストレスチェックでは問題なしだったから絶対大丈夫」

とも限りません。

その後に職場環境や体調が変わることもあります。

日々の自分の変化を見ることも必要です。

ちなみに現在は常時50人以上の労働者がいる事業場などでストレスチェックが義務化されていますが、2028年4月1日から50人未満の事業場にも義務が広がります。厚生労働省

人事や現場管理を経験して感じること

私はこれまで、人事・労務や事業運営などに関わってきました。

メンタルヘルスについて考えるとき、

「本人が泣いているか」

「落ち込んでいると言っているか」

だけを見ると、変化を見落としてしまうことがあります。

仕事ではむしろ、

「最近ミスが増えた」

「以前より判断に時間がかかる」

「遅刻が増えた」

「表情や会話が変わった」

という形で変化が現れることがあります。

そこで、

「最近やる気ないね」

「もっとしっかりして」

だけで終わらせてしまうと、本当の原因が見えなくなる可能性があります。

そして働いている本人も、

「仕事ができなくなった=自分の能力が落ちた」

と決めつけない方がいいと思います。

体調が崩れているときは、仕事のパフォーマンスも変わります。

会社に言う前に病院へ行ってもいい

「まず上司に相談しないと病院へ行けないの?」

そんなことはありません。

自分で医療機関を受診することはできます。

精神科や心療内科だけでなく、症状によっては普段利用している医療機関へ最初に相談する方法もあります。

厚生労働省の「こころの耳」では、全国の医療機関検索も提供しています。こころの相談窓口

会社に体調を詳しく説明することに抵抗がある場合もあるでしょう。

まず医師へ相談し、

「仕事を続けてよいのか」

「勤務時間などの配慮が必要なのか」

「休養が必要なのか」

などを相談したうえで、会社への伝え方を考える方法もあります。

誰かに話すだけでもいい

「病院へ行くほどなのか分からない」

「いきなり精神科へ行くのは抵抗がある」

という人もいると思います。

厚生労働省の「こころの耳」では、働く人や家族を対象に、電話・SNS・メールによる無料・匿名の相談を提供しています。こころの相談窓口

また、「こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)」では、所在地の都道府県・政令指定都市の公的な相談機関につながります。受付時間は地域によって異なります。厚生労働省

「病気かどうか分からないから相談できない」

ではありません。

分からないから相談する。

それでもいいのだと思います。

うつ病は「頑張れるかどうか」だけで判断しない

仕事に行けている。

毎日出勤している。

会社では普通に話している。

だから自分は大丈夫。

必ずしもそうとは限りません。

逆に、

仕事に行きたくない日がある。

一度眠れなかった。

だからうつ病。

というわけでもありません。

重要なのは一つの症状だけを見ることではなく、

「以前の自分と比べて何が変わったか」

そして、

「その状態がどのくらい続いているか」

を見ることです。

厚生労働省が職場のメンタルヘルス対策を進め、今後は小規模な職場にもストレスチェックが広がっていきます。

それでも、毎日の変化に一番早く気付ける可能性があるのは自分自身です。

最近、

眠れない。

食欲が変わった。

仕事に集中できない。

休日も何も楽しめない。

疲れが取れない。

遅刻や欠勤が増えた。

自分を責めることが増えた。

そんな変化が続いているなら、

「もっと頑張らなければ」と考える前に、一度誰かへ相談する。

今日の職場のメンタルヘルスに関するニュースを、自分の状態を確認するきっかけにしてみてはいかがでしょうか。


参考資料

・厚生労働省「こころの耳 令和8年度職場のメンタルヘルスシンポジウム」
・厚生労働省「こころの耳 ご存知ですか?うつ病」
・厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」
・厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」
・厚生労働省「こころの耳の相談窓口」

※本記事は、うつ病などの診断を目的としたものではありません。症状の原因や診断は個人によって異なります。心身の不調が続く場合は医療機関などへご相談ください。自分を傷つけたい、死にたいという気持ちがあるなど緊急性が高い場合は、身近な人や医療機関、公的相談窓口などへ早めにつながってください。

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